2015年 07月 28日
そこにいる二人。
長らくお待たせして本当に申し訳ございませんでした。
途中出版社も変わり、私自身の身体と生活環境も大きく変わり、沢山ご心配をおかけしましたが、
今までの『WILD ADAPTER』の世界観とは変わらぬ物をお届けしたい、という思いを込めて描きました。
続きとなる新章は今冬より、ゼロサムオンラインの方にて連載開始予定となっております。
↓以下、7巻について少々の雑記です。ネタバレを含みますのでご注意下さい。
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7巻は、6巻のタンカー事件を間に挟む時系列になっております。分かり辛くてスミマセン…。徳間時代の段階から細かい年月表記が既に色々曖昧な所にどうにも上手い事修正もきかなかったのでそこはボンヤリと薄目で見て下さい()。
他作品もそうですが私はどうもカッチリ年表とか作って時系列こだわるのが苦手で、悪い癖でザックリと「だいたいこんぐらい」の目分量で済ませてしまう所が…(お菓子作りができないタイプ)。変な部分では自分でも気持ち悪いぐらい神経質にこだわりたがるのに、なんなんでしょうかね…。私はもう少し自分の漫画を読み返した方がいい(←なによりコレが苦手)。
雑誌掲載時からそれはもう「アナタは鬼畜か」と大クレームを頂戴しております7章ラストシーンですが、作品にとって無駄な事を描いたつもりは毛頭ないので、今後皆様に納得して頂けるように頑張って彼らの世界を繋いで行きたいと思います。「辛くてもう読みたくない」というお声も多いですが「─────いやいや!もうちょっとお付き合い下さいスミマセン…!」と追い縋る思いです(苦笑)。
ただ、当初から予定していた展開だったのに、なんとなくタイミング悪く最遊記RB最新刊と引き方がカブっちゃったのは想定外でした…。
自分の身体の事も鑑みて、どんなに少しずつでもなるべく早く完結する方向に取り組んでおります。描ける文量が完全に限られてしまっているので、まだまだ全然先が長いのですが…。
長らくお付き合い頂いている皆様の寛容さに甘えてばかりで、本当にご迷惑おかけしております。それでも読んで下さっている方がこの世の何処かにいる事だけが、作品の糧です。
少し前に最遊記で『玄奘三蔵の読経CD』という物を発売させて頂きまして、その中で三蔵が『般若心経講座』なる物を講釈しているトラックが長々と収録されているのですが(『峰倉かずやシナリオワークス』にもシナリオ収録済み)。そのシナリオを書くにあたり、今一度般若心経の本をひたすら読み漁り、その上で私=玄奘三蔵なりの「色即是空、空即是色」の解釈を三蔵の口から語らせて頂いたのですが、今巻のWAにはたぶんその影響が色濃く出ていると思います。
あのシナリオのお仕事で、自分の中にあった『色と空』の概念が明確にできて、それは最遊記でもWAでもどの漫画でも共通だな、と。
形あるものに捕われてしまう愚かさ、見えない物を信じようとする強さと弱さ、そういう脆い人間らしさが愛おしく、それを表現したいのは以前からの共通だな、と改めて思いました。
宗教的な話でも学術的な論理でもないです。私にとっては言葉で説明出来ない曖昧模糊かつ揺れ動く感覚的なものだからこそ、漫画で表現しようとしている感じです。
いらん解説クドイですね。言葉でなく漫画でそれがお伝えできるよう頑張ります。
あと誤解のないようにお伝えしておきますと、今回の内容で『BL』というジャンルを拒絶しているつもりは全くないですし、執行部もWAもBL雑誌の一作品として描いてきたからこそ今の久保時があります。BL誌掲載じゃなかったらたぶん作品の方向性が今とはかなり違っていたんじゃないかと思うし、私は今のこの久保時シリーズを愛しています。
「この二人はデキているのか、そこをハッキリして」というお声を内外から頂く事が今まで多かったので、それに対する自分なりの答えのつもりです。
…ただアレですね、まだBL誌掲載だった時に思い切って濃いゲイ描写入れはじめた(7巻前半)途端に一般誌に移籍しちゃったんで、「ゼロサムに移った7巻から逆にホモ描写が増えましたね」って誤解が生じててなんかゼロサムさんゴメン。
今巻は梔子編という事もあり、テーマカラーは白なのですが、如何せんカバーのロゴ等を白にしてみたら色抜け(印刷落ち)したようにも見えてしまったので、苦肉の策でカバーには「白銀」を使用させて頂きました。
カバー周りから口絵も小冊子も関連商品も併せて、ひたすら久保時のイラストを淡々と大量に描いていた珍しい期間でした…。どれも精一杯想いは込めたので、少しでも愉しんで頂ければよいのですが。
特装版の小冊子『sugar-coat pellet』について。
画集sugar-coatシリーズ『糖衣』『糖衣EX』ときてミニ版イラスト集という事で『糖衣(小錠剤)』です。今回のは特に、コミックス本編の内容が(というかラストが)なかなか厳しいので、小冊子の方はあまり血腥い描写無しで淡々としたフォトブックにさせて頂き、なんというかコミックス読んだ後に「傷みを和らげるお薬出しておきますねー」的な存在になればいいな、と思ったんですが、よく考えたらpelletって銃弾って意味もあった。
小冊子も当初は本文16ページだったところを、もう少しだけでもイラストを追加したいと欲が出て入稿ギリギリで20ページに増やさせて頂いて(小柳さんマジごめん)、それでも入れられなかったキャラクターもいて、その点が申し訳ないです。
あと1ページ目はアシさん達にも「誰っすかコレ」と言われましたが関谷の(変態)坊ちゃんです。
そういえば口絵のレース絵、「結婚式みたいですね!」とご好評頂けましたが、色を裏返したらこう↓なのかなって。表裏一体。
by nitro_mine
| 2015-07-28 00:00
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