ブラック・スワン。
『峰倉.NET』のバースデー企画にメッセージを下さった皆様には、御礼コメントと恒例の描き下ろし待受画像を近日中に配信させて頂きますので、しばしお待ち下さい。
たまにはブログらしく、誕生日の出来事を綴ってみようかと思います。
たまたま当日は仕事の谷間だった為、アシさん達が集まって私の誕生日会を開いてくれるという。嬉しいなぁ。そんな中、今の峰倉組で一番若い(といっても外伝のラスト辺りから手伝ってくれている)「林檎ちゃん(仮名)」が自ら名乗りを上げて、甘い物が苦手な私に何故かケーキを作ってくれると言い出した。
林檎ちゃんの手作り料理の凄さを我々は幾度となく、身を以て体験している。去年のクリスマスには「チョコレートのおうちを作ります〜」と言って、出来上がったのはヒビ割れた廃墟のような板チョコハウスの中にキノコの山のキノコたちが3箱分ギッシリと詰め込まれ、家の三倍はある巨大なサンタクロース(チョコ製)が三体、キノコ達が家からはみ出さないように押さえつけているという、アウシュビッツ収容所をも彷彿とさせる地獄絵図だった。
……因みに、義顎の私はチョコレートが食えない事を彼女は知っていた筈である。
林檎「今回は先生も食べられる、すっばらしく美しいケーキにします〜!」
我々の不安をよそに、根拠の無い自信に満ちた胸を張る林檎ちゃん。
……なんでも、生クリームを塗ったスポンジケーキを湖面に見立てて、その上にはスワンのシュークリームを数羽、優雅に泳がせるという構想らしい。
タイトルは『白鳥の湖』だそうだ。
我々が夕飯の鍋をこさえる中、キッチンにてシュークリームを生地の時点で失敗しつつ、なんとか焼き上がった素材を一人でデコレーションし始める林檎ちゃん。
遂に完成。はい、ドン。

因みに土台の目はグミ、くちばしはチップスターだそうだ。頭の上には折り重なるようにひしめき合う日焼け気味の白鳥達が、獲物を狙う蛇の如く一斉に鎌首をもたげている。あとなんで君はキノコの山を使わないと気が済まないんだ?
…とりあえず、横からも見てみよう。

林檎「カワイイですよねぇぇ〜〜〜?」
たかの「(指差して)コイツの形容詞は『禍々しい』だ!!」
──────いや、これはまだいい。初登場時のインパクトが凄かった。
わざわざ部屋の電気を消させ、生首の頭頂部に無理矢理刺した数本のローソクに点火して運んで来たのだ。はいドン。

朝比奈「ちょ、ま、首!! スワンの首が燃えてる!!」
たかの「先生早く!! 早くローソク吹き消して下さい!!」
峰倉「お前ら忘れてるだろ、義顎だからフーッて出来ないんだよ!!」
アシ全員「あぁっ、そうだったーーーーーー!!!」

「〜〜〜くっさ!! コゲくっさ!!!!」「おい換気しろ換気!!」
───────────美味しく頂きましたよ。黒スワンがカリッカリでね。
今月半ばまで漫画とイラストをだいぶ抱え込んで、ちょっとガクッと身体にガタが来ちゃって。久々に漫画を描いて、ブランクを感じるよりも何よりも……義顎がねー。この口の中を埋める人工物が、原稿中に不快で。痛みと乾きで集中力も続かないわ、締切前にはあまりにキツイんで咄嗟に外して床に投げつけそうになったりして、でもコレがないと私は喋る事はおろか飲み食いさえもまったく出来なくなる、一生コイツと付き合いながら仕事をしなきゃいけないんだ……とか、色々、どんよりと煮詰まっていたんですなー。今考えると。
でも皆の力を借りてなんとか原稿も全て入稿できて、んでこうして久々に爆笑して皆で楽しく過ごせて、凄い元気もらいました。
ありがとう林檎ちゃん。ありがとうブラックスワン。
君の事は忘れない。てか忘れようがねぇ。