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『最遊記歌劇伝-Burial-』舞台感想-その2-。

先の記事から続いての観劇感想文となります。
下のリンクを開いてご覧下さい。







続きです。第二幕。

【悟浄&八戒の章】
ジェノサイドな悟能のアクションが綺麗だなぁ。躊躇いの無い残忍さ。
重たく美しい月が、軽薄なミラーボールに変わるという流れが凄く好き。
鷭里のダンスがキレッキレで凄い。ダンサーのお姉(兄)さん達ちょうセクスィー。
悟浄のチャラい登場(ハイタッチ)いいなぁ。てかもう四肢が長くて全身が絵になる悟浄だなぁ。
原作にはないオリジナルシーン、フリーダム枠でもありつつ、悟浄と鷭里の関係性とキャラ(と鷭里が雲隠れした経緯)も表現してる。
アニキが腹話術の人形みたいでかわいいよ!
ヤクザの中で森川次朗さんと唐橋さんが好み過ぎて目で追っちゃってたよ。
タイソンさんがどこで鏡餅仕込むのかタイムシフトで確認しちゃったよ(笑)。
八戒につっかかって転ぶシルエットすら絵になる太陽君の悟浄。太陽君のコミカルな動きと表情すごく好き。
タイトルが映し出されて立ち止まり見上げる二人のバックショットが印象的でいいなぁ。

ブカめに作られた衣装と鯛造君の動きが相まって、チャイナ服の悟空はすごく小さく見えるね。めっちゃ可愛い。
三蔵も別の意味で可愛い。悟空に甘過ぎる(笑)。

ここで原作無印4巻の「BE THERE」が…!
トランプシーン好きだなぁ~。悟浄の「(庶民的で)すみません。」と「なんなんだよ…」が超可愛いよ…。
太陽君の悟浄、前回より更にうんと自然な悟浄になってる。太陽君の悟浄は、男臭さ+大型犬がバウバウ吠えてるような可愛さもある。
そしてフッキーさんホント上手いなぁ…。素人がプロの方に上手いとか言うのは本当におこがましいけど、「悟能」も「八戒(昔)」も「八戒(今)」も凄まじい演じ分けと完璧な声の抑揚。
私今の歌劇伝での八戒がめっちゃ好きで、原作でこんなに八戒に萌えた事はないので、たぶんフッキーさんの演技のお力。
悟能の歌声が澄んでいて切ない。
そして今回、悟浄のちょっとした動作や表情が凄くいい。ニヤッと笑う顔とか凄く悟浄。こりゃ惚れる。

鈴木くん三蔵VS太陽くん悟浄のやり取りって、前回のGod Childからすんんんごい好きなんだけど、今回もまた良かった!悟浄のからかい方と三蔵のイラ付き、ガチの殴り合いが理想的。
てかここの三蔵の「殺すぞ」の薮睨みと言い方がすごくサラッとガラ悪くて男臭くていいなぁ。鈴木くんの三蔵、基本的に声が凄く好きなんだけど、特にあまり力んでいない時のガラ悪い口調と所作の演技が好きだ。三蔵というキャラの良いアクセントになってる。
悟空の動きがホント凄い。漫画より更に身軽とか一体どういう事なの…(困惑)。
銃を構えた悟能の長台詞、ここ凄く好き。私どんだけフッキーさんの八戒好きなの。
そしてモグモグ悟空の凶悪な可愛さよ……。「熱いのかと思った」の笑顔の破壊力よ……。
そして悟浄が、斜に構えてるのにイイ奴が滲み出てて可愛いよ…。

また八戒の話なんですけど、目玉くり抜きのくだりの八戒の演技凄まじい。凄まじく八戒。
自暴自棄でみっともなくて哀しい、悟能だった頃の八戒。
三蔵の「バぁカばっかりだ」の言い方が、呆れつつも情けが深くて凄くいい。三蔵の荒い言葉使いの緩急を上手く表現してくれていて嬉しいなぁ。
コメントでも書いてくれてた方いましたけど、このBE THEREをBurial三蔵の章の後に持って来た事で、三蔵の「お前が生きて変わるものもある」の台詞に重みと、三蔵の抱えて来た物がより込められてるね。

三蔵の読経シーン、美しい。神々しい。そして曲の盛り上がり、三人の背中合わせと歌についつい微笑んでしまった。なんか嬉しくて。
「この心が生きてるから」で悟空が八戒の胸を真っ直ぐ指差すのが良いし、悟浄が悟浄らしい笑顔で仲間を見遣るのが良い。
三蔵に深くお辞儀する八戒の背中にすべてが込められていて美しい。
私たぶん、自分で思っているよりも遥かに『三蔵一行』を心底愛していて、だから四人のシーンはオカン目線で愛しく看守ってしまうんだ。

そして原作Burialに繋がる。
皆言ってたけど三蔵の冠布くるくるがなんか素敵。

鷭里の育ちが分かるチャラさと粗野さがとてもイイ。鷭里が混じる事で八戒が異分子側になる感じが出ている。
「コッチに河岸替えしたってか?」の下衆な鷭里と不快げに目を逸らす八戒がなんか…エロいです…(私見)。
すごく好きな、寺院でのミュージカルシーン。
悟空すごい可愛いすごいかわいい元気かわいい肉マンぱーんち!!
てかアンサンブルの皆さんの動きがコミカルかつ無駄が無くて凄いよ。
片足立ちで誰一人軸がまったくブレないとか凄いよ…。悟空避けてく連動感もスゴイよ…。
ホント今回アンサンブルさん達のお力が凄くて、お一人ずつの動きもちゃんと観たいので、目がいくつあっても足りない(笑)。
そして八戒保父さん素敵だよー!悟空に対して教育ママ的表情になる時と、すごく優しい表情する時があるのがまたいいよー。
でもって三蔵の放任パパっぷりが板に付いてるよ。なんだかんだで、よく人を見ている三蔵。
三蔵もたまに、光明のように人を「看てる」んだなって瞬間がある。光明は冷たく暖かく「見守る」タイプで、三蔵は文句言いながらも結局「手を差し伸べる」タイプ。そこが月と太陽の違い。

鷭里VS八戒のシーン。
自分で抑え込み続けてる八戒の感情を、1枚ずつ剥がして剥き出しにしてくれるキーマンなのが鷭里で、その流れがとても素晴らしく再現して頂けていた。ここ一連の酒ビンの使い方が上手い。八戒が背中を向けてビンを机に叩き置くまでの流れ。
なんというか、三次元になると漫画よりも修羅場感が増すな……(笑)。
悟浄が八戒の方を引き止める描写が追加されてるのがまたね……これで鷭里の孤独が強調された。
そして情けなくボコられてチンピラに連行される鷭里の、歌による感情表現がすっごい好き。ここ原作に無くてすっごく好きなシーン。
原作では描けなかった、鷭里の哀愁までも丁寧に扱ってくれているのがとても嬉しい(鷭里をちゃんと書いてあげられなかったのが無念で、全サ小冊子のSSで鷭里が死ぬシーンだけでも無理矢理書いたけど)。

三蔵サマの煽りっぷりイイなぁ、「使えねぇなぁ」の言い方スキ。
鷭里の台詞と八戒の独白がクロスするのがいいなぁ。どちらも違うベクトルで切ない。
フッキーさんの「…あーもー、しょーがねぇなあ」が聴けたのが幸せです。
前回も思ったのですが、太陽くんってヤラレのアクションが凄くお上手だと思うのです。顔面もですが特にボディに入ったときのアクションが大変好きですマニアックですみません。でも悟浄はヤラレが多いキャラなのでそこ大事なのよ。

「傘を届けに」からの八戒と悟浄の会話、とても良いです……良いです……。
「僕が!…ですよ。」の言い方凄く萌えます。悟浄の表情も凄くいいです。
蔦八戒いつかちゃんと観たいです。
雨上がり後の八戒の「あーハイハイ。」このひと言が二人の関係性を確固たる物にした感じが凄くよく出ている。
そして三蔵一行が、月の下に揃う。並ぶ4つのシルエットに、どうにも泣けてしまう親心。
烏哭の「もっと黒く染めてくれても良かったのに」、この言葉が最リロ10巻のラストに繋がるかと思うとね…。

【烏哭の章-3】
剛内のアクションシーンがとても力強くてカッコイイ。布のたなびき方もカッコイイ。
その後の健邑のアクションシーンがまた対照的に、最小限の動きでクールにいなして行くのがいい。
それにしても健邑の腕の動きが…「あ、この構図、私描いた」って思わされる再現度なのね……。
カラスの群れに溶け込むようにはける健邑カッコイイ。

そして修行僧VS闇ガラス達によるアクションシーンが凄まじくカッコイイ。カッコイイしか言ってない。
それをすべて、ただ「看ている」光明の、月光のように冷たく静謐な表情、佇まいが本当に、本当に素晴らしかった。ニコ生でもDVDでもここは是非アップで観て頂きたい。ゾクッとした。
美しく、柔らかく、冷たく、目映く、存在感が凄い光明三蔵法師。三上さんが光明で本当に良かった。
光明の髪の色が絶妙で、照明の具合で暖かい色にも冷たい銀のような色にもなるのが素晴らしいね。

そして、健邑が「哭く」シーン。原作の画面をそのまま完全再現して下さった、剛内を討ち取る一羽の若カラス。
逝き損ないの切なさと自嘲と諦観を込めた表情。藤田さんが健邑で本当に良かった。
ゲストキャラのキャストさんが毎回完璧な人選。スタッフさん本当にありがとう。

そしてここで原作埋葬編エピローグ。月闇コンビが大好きな私はあまり冷静に観られてないと思うのですが()、唐橋さんの細かい表情の演技を是非、アップで観て頂きたい。とにかく観て頂きたい。

【現在】
ここで前作カミサマ編のラストに繋がるという、素晴らしい構成。今回が初見の方は前作God Childも是非。
そして白衣姿の健邑…!
一瞬だけの為に三蔵法衣になったその直後に白衣、EDでまた黒衣と、藤田さんは衣装替えがめまぐるしかった事と思います…でも凄く嬉しい演出。
原作を未読の方には、どうしても時系列とキャラ相関が分かり辛かったのではと懸念しますが、逆に今回の舞台は原作読者さんにこそ観て頂きたい物を作り上げて下さった思います。

でもってラストの黒法衣烏哭………ああもうこれで死んでもいいや……(よかない)。
今回衣装制作の段階で「烏哭は光明が死ぬまでは白法衣なので、今回は白ですね〜」とお伝えしていたのですが、公演直前で「演出の変更で黒烏哭が出る事になったので急遽衣装作ります」と連絡が来て「…どこで!?どうやって!?」と動揺し、舞台を観て「なるほどこう来たか…!」と。
たとえ唐橋さんの衣装替えが大変でも(笑)ホントありがとうございました。拝み倒します。

【ED】
アンサンブルさん達の演舞がカッコ良過ぎて何回もリピートした……。ここ素晴らしい。
剛内の挨拶ポーズが漢らしくて硬派でドッシリしてて画になるなぁ。
とにかく鯛造くんは今回めっちゃ軽々と飛び回ってて「ワイヤーでもついてるのか」ってぐらいだったのに、パンフに「もっと身軽になりたい」って書いてあって困惑した。

『Go to the west 15 EDバージョン』、歌い出し前の階段登る直前にも三蔵と健邑が一度キッと睨み合って、並んで階段登って行くのがとても萌える。
三蔵の手を払い退ける健邑がイイ。
三蔵ズ(あ、待覚は違うけど)の競演イイなぁ。
悟空が三蔵にドーンするのも可愛いし、烏哭と健邑がウサギで戯れつつ歌ってるのが(烏哭が一方的に過去の自分にちょっかいかけてる感じなのも)いいなぁ。
健邑歌うまいなぁ美声だなぁ。
「生きるか死ぬか」で闇サイドと光サイドに左右分かれてるけど、人数多いように見えて実は、闇側に立っているのは烏哭ただ独り(烏哭と健邑とカラスの群れ)というのがまたね…!

ここで…ここで「カミサマの歌」を烏哭が歌うとか……!
これはズルイ……今回これを烏哭が歌う事で、カミサマのあのフレーズが実は烏哭の心情だったとダブらされるのだ。
凄いな。
ズルイな。
そして光明の歌声が強く響き渡る瞬間に鳥肌。何度聴いてもここで鳥肌。凄い存在感。

余談ですがカーテンコール、アンコール、三蔵一行がめっちゃ可愛かった。可愛かった。可愛かった…(三回)。
終始ニヤニヤしてた自分がキモチワルイ。でも可愛かったんだよホント…(4回目)。


全体のクオリティとしては、歌劇伝の第1弾と第2弾の後、5年を経て復活した3作目の『God Child』で驚く程の進化をみたと個人的には感じており、正直前2作とはまったく別物なぐらいの感覚でした。
そして今回の『Burial』は更にそれを上回るクオリティを見せて頂きました。
パンフレットにも書いたように、埋葬編は淡々と地味めなストーリーと空気感の原作なので、舞台化に不安がなかったといえば嘘になります。
おそらく観劇する前は読者さん達も同じ気持ちだったんじゃないかと思います。
ここまで上手くまとめて下さるとは思いもよりませんでしたし、ミュージカルと演舞の要素を強めて華やかさと雰囲気を盛り上げていく作りにも感嘆し、畑は違えど物作りとして、とても重要な事を学ばせて頂きました。
また、ここまで徹底的に原作を大事にして下さるのが伝わる作りに心から敬意を表します。原作を愛してくれている読者さんにこそ観て頂きたい。どこまでも最遊記を愛して作って下さっているのが痛い程伝わる作品です。

これは私の勝手な受け取り方なんだけど、今回はなんとなく、原作に対して勝負を挑まれてるような感じがしました。
前回までの「原作の再現度を高める」という枠ではなく、原作を最大限に活かしてどこまで舞台上のエンターテインメントに昇華できるか、みたいな。
今回の原作エピソードがとりわけ淡々とした埋葬編だったから余計なのかもしれませんが。
唐橋さんも仰ってましたが「また峰倉先生に『悔しい~』って地団駄踏ませたい」みたいな(笑)。
こんな嬉しい地団駄なら喜んでいくらでも踏みますけどね。
今回めっちゃ踏みまくりましたけどね。

どうしても次は次はと愉しみにしてしまう。
欲張ってはいけないと思いつつ、これだけ完成度の高い物を見せて頂くと、また次も…と期待が膨らんでしまう。
プレッシャーを与えるつもりはありません。今作が素晴らしい、それがすべてです。

でも、できる事ならまた、更なる西へ。

私達は観たい。

私が観たい。
by nitro_mine | 2015-01-25 00:02 | 仕事関連レポート