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「 た だ い ま 。」

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峰倉です。お陰様で無事生還できました。
家族が皆様からの贈り物を病院に毎日コツコツ運んでくれて、病室が千羽鶴…否、幾万羽の鶴で埋め尽くされ、担当医師や看護士さん達が「こんな量は初めて見た」と驚くほどでした。術後辛くて苦しくて泣き叫びたい時、部屋中を取り囲む色とりどりの応援が本当に励みになりました。手術の痕がすこぶる綺麗だと言われたのも、頂いた沢山のお守りのお陰だと思っております。遠くから支えて下さった皆様に、心から感謝します。本当にありがとうございました。

退院は出来ましたが、術痕はまだ塞がっておらず(落ち着くまで半年はかかるとの事)、また幾つかの身体機能を失ってしまった為、なんとか日常生活を送る事で精一杯の日々です。……しかし、周囲に心強い支えを沢山持っている恵まれた私(←自慢)は、希望だけ見据えて頑張れております。漫画を休筆している事で、多くの方に失望や怒りを抱かせてしまっている事が本当に心苦しいし情けなくて泣けてきますが、どうか今しばらくお時間頂けますようご理解賜りたく存じます。

下のリンクから、今回の病気の詳細について語ってます。漫画連載を休筆させて頂いている事情をご理解頂ければという趣旨の説明ですが、お嫌な方は開かないで下さいませ。



顔(上顎)の骨に根付いた腫瘍を除去する手術だった事は、以前お伝えした通りです。
今回の手術で私は、顔の骨の半分(右上顎骨)を失いました。つまり、右頬の骨が無くなったので今現在、顔が片側陥没してます。
上顎も歯とともにほぼすべて失い、鼻と口の間を遮る物が無い状態になりました。これにより物が食べられないだけでなく、言葉をきちんと発音する事が出来なくなりました。
また、眼底の骨はギリギリ助かって残してもらえましたが、目のフチの骨は削り取らざるをえなかった為、右目の骨の一部を失い、必然的にそのすぐ近くにある顔面の神経を切断した為、顔の右側の皮膚の感覚を失い、一生涯の麻痺となりました(あ、でも皮膚表面の神経が無くなっただけで、表情筋はちゃんと動きますよ〜)。

検査を重ねた結果、極めて異例ではあるが『エナメル上皮腫』の一種と判断されまして、ウィキにも書いてある通り若い男性に出来る腫瘍な上に、上顎に出来てしかもこれだけ大きいのはまず例が無かったそうで……。そしてこの腫瘍は骨組織を大幅に破壊し再発率も高い為、かなり広範囲に渡って切除せねばならず、再発した時の為に移植も出来ないという……そんな厄介さんな病気です。

今現在、無くなった上顎部分には人工の義顎を嵌め込んでありまして(入れ歯と同じで取り外しできるヤツね)、まだ仮状態の物なんで歯もついてないですし、飲んだ水は鼻から漏れるわ食べた物は鼻から出るわ(笑)言葉もきちんとは発音出来ないんですけど(でもまぁ普通に会話のやり取りが出来る程度ではあるよ〜)、術痕が癒えて腫れも引いたら、じっくり時間をかけてきちんとした義顎(歯付き)を作ってもらえるそうです。そしたらもう少しきちんと喋れるようになる…筈だと。
同じく術痕が落ち着いたら、陥没してる頬にも何か人工物を入れて膨らみをもたせて、もー少しは見られる顔になるらしいっす(苦笑)。まぁ今も、グラサンや帽子で顔隠し気味にしながら近所のスーパーとかコンビニには行ってるけど(笑)。
顔面も、目の下にまだ切開痕がハッキリ残ってるけど、これも数年したら薄れはするみたいです。皆さんの前に出られるにはまだ当分かかりそうかな。

個人的に一番厄介なのが右目でして(きちんと見えてはいるのですが)、先に書いたように目の骨を削ったので、一緒に目元の筋肉も失ってしまって、下瞼がうまく閉じられなくなってしまったのですね…。瞬きしているつもりでも瞼がきちんと動いてなくて、目が乾いてたまらない……。涙袋に繋がる涙腺も手術で失った為、人工の涙腺を顔の内側に通してあるのですが、それの影響もあってか、右目がどうしても長時間の作画作業に対応できておりません。主治医曰く、目元の筋肉は徐々に再生していずれ元通りになる筈…という事なので、それを信じて療養しつつ、少しづつでも絵を描いて行ければと。てか、もう既に描いてるけどな(笑)

手術直後の二〜三日間くらいは、呼吸や唾を飲む事さえもままならず、まったく眠る間もなくひたすら血と痰を吐き続けて、「えっ…これでどうやって生きて行くんだ俺」って軽い絶望感にパニクってましたが、人間の適応力というか回復力はすごいもので、四日目には「…あぁ、まぁ、生きてはいけるわな。」と精神も安定するに至りました。
口の中いっぱいに人工物(義顎)が嵌め込んである状態にも、最初ほどの抵抗もなく徐々に慣れ始め、顔面の麻痺と同様に、今ではたまにその事を忘れる瞬間さえ出来てきました。うがいも、口に含んだ水を鼻からドバー出すのが当たり前に……(笑)
主治医にもさんざ諭されたけど結局は慣れだ(笑)

とはいえ、日常生活はまだまだ不自由で慣れない事だらけだし、痛みはたまにビックリするよーなんが襲って来るし(骨切った事より神経切った方が原因らしい)、鏡見ては進行する顔面崩壊にゲンナリする事もあるけれど(治癒による引き攣れにより、術後三ヶ月かけて更に顔が歪んでいくそうな…おそろしー)………がんばるしかないだろー。
幸い頼もしく優しい母と、どんな姿になっても愛でてくれる世界一マニアックな嗜好の旦那がフォローしてくれているので、泣き言ばっかほざいてたらバチがあたるってモンですわ。……てか辛いのは身体なんかより、漫画描けてない悔しさの方なんだけど。

……とまぁ現状そんな感じでして。すぐに漫画連載を復帰する事は、現段階ではなかなか難しそうで、そればかりは本当に申し訳ないですし、我ながら不甲斐ない限りです……。
が、とりあえず漫画以外のお仕事は既に復帰しておりますし、来年以降のお仕事も実は様々頂いておりまして(イラストとか小説とか色々ね)、これを機に新しい分野の事にもどんどんチャレンジして行けたらと前向きな気持ちで年を越します。とにかく、漫画は無理でも少しでも絵描いてないと、今より下手になったら目もあてられないので(笑)絵のお仕事を沢山しておきたいです。
勿論、愛しい我が子達をまた漫画というフィールドで暴れさせる時の為に。

宜しければ今後とも、この不甲斐ない漫画家を見守って頂きたく思います。
………あ、三週間我慢したけど、やっぱり煙草は吸ってますスミマセン(苦笑)。

生きてるってね、思えたよ。
by nitro_mine | 2010-12-30 00:01 | 近況日常趣味嗜好